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【老健OTの独り言】在宅復帰に向けた関わりの中で得た気づきと学び①

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こんにちわ、とーこです!

先日、自分が担当している利用者さんが老健入所から自宅へ帰られました。

入所される前は私が勤めている通所リハビリを利用されている方です。

「家でトイレに行くのが難しくなっている。老健に入所して集中的にリハビリをしてもらいたい」とご家族から希望があっての入所でした。

入所期間は3か月程度だったと思います。

さて、この利用者さんの在宅復帰に向けた関わりの中でいろいろと思うことがありました。

今日のテーマは「着目した生活動作から目を離すな!!」です。

私は老健に勤める作業療法士です

この記事は老健に勤めている新人OTさん向けの内容です。

  • 老健の在宅復帰ってイメージが湧かない
  • 在宅復帰に向けて作業療法士として気をつけて関わるべき点を知りたい
  • 現場とのコミュニケーションに悩んでいる

今回の話は私の失敗談をベースにしていますので、よろしければ反面教師としてご活用ください。

老健に勤務するなら「介護老人保健施設の作業療法」という教科書がおすすめです!

介護老人保健施設の作業療法 [ 新井健五 ]
目次

ニーズはトイレに行って一通りの排泄動作を行えることだった

在宅復帰後、独居の予定です
ご家族様は敷地内の別棟に住まれています

ニーズは「トイレに行って、一通りの排泄動作を行えること」でした。

入所時にできていたことは以下の通り。

  • シルバーカーを押して歩くこと
  • 昼間は尿意を感じて自分でトイレに行くこと
  • 便座に座って排泄すること

一方、難しいことや介助していたことは以下の通り。

  • 汚れたパットの交換や新しいパットをつけること
  • 衣類まで失禁してしまったときに着替えること
  • ズボンを腰元まで引き上げること。

これらの動作には職員が介助を行っていました。

在宅復帰時にはご家族様が排泄面への介入を考えておられましたので、家族がどこを介助すれば良いかをお伝えする必要がありました。

退所までに見極めることとしては2点です。

  • ご本人様がどのまでの動作が可能なのか
  • 介助が必要な時間帯や動作、それに応じた環境設定

これらを踏まえてケアプランを立案しました。

排泄に着目したケアプランを立案した

失禁してしまったときのパットやリハビリパンツの交換が課題でした

施設内カンファレンスで共有した情報は以下の通りです。

  • 時々パット内への失禁がある
  • 日中よりも夜間就寝中の失禁が目立つ
  • パットの交換やリハビリパンツの履き替えには介助を要している
  • 声かけすれば、パットを自分で外すことはできる
  • 在宅復帰後は平日通所リハビリに通う
  • 長男夫婦は敷地内に住んでいて、本人の生活面に関わる予定である
  • 夜間は一人で過ごす

昼間は通所リハビリに通う予定のため、失禁して衣類が汚れてしまっても職員が介助することができそうでした。

また、週末はご家族が隣の家におられます。

問題になったのは夜間就寝中の排泄と失禁時の対応についてです。

入所前にも夜間の失禁時に対応が問題になっており、衣類が汚れてしまうと夜中でも一人で入浴してしまうことをご家族は心配されていました。

  1. 一人でトイレに行って排泄できる
  2. 失禁してしまった時はパットを外して新しいパットをつける

この2点をケアプランとし、生活の中で練習していくことにしました。

排泄状況の変化に気づけないまま時が過ぎてしまっていた

ケアプランを立案後、リハビリは毎日行っていました。

当然ケアプランの実施は行われているはず、と思い込んでいたのが今回の一番の反省点です。

評価した内容が刻々と変化する(時に悪い方向へ)ことを予測しきれず、入所している間にできないことがさらに増えてしまっていました。

パット交換は行われなくなっていた

この方の部屋は個室で、部屋の中にあるトイレを使われていました。

パットを捨てるバケツを設置し、外したら捨てる練習を行っていました。

しかし、夜間のトイレが間に合わずに部屋の床の上やベッド上での排尿の回数が増えていたことをきっかけに、夜間ポータブルトイレを使用するよう変更を行いました。

この「排泄の場所が変わった」ことをきっかけに、パット用バケツが撤去されてしまい、パットを外す練習も行われなくなってしまっていました。

夜間の排泄場所の変更に伴い、「パットを外す練習」の継続が可能かを現場の職員と意見を擦り合わせるべきでした。

トイレ動作で介助する場面が多くなっていた

排泄中に次の動作をどうすればいいかを尋ねられることが多くなっていきました。

「どうしたらいいんかいの?」と尋ねられれば、職員は声をかけ、介助する場面が多くなります。

また、排便でトイレに長居すると、ご自分では次にどうすれば良いか判断がつかない頻度が増えているようでした。

これらの情報は介護記録上で十分確認がとれず、退所前訪問時に最近の排泄の様子を介護士へ確認した際に聴き取った情報です。

私が思っていた以上に介助されている場面が増えていることを知り、情報収集の甘さを思い知りました

夜間の失禁が目立つようになっていた

夜間の失禁については、介護記録上で都度確認することができていました。

  • ベッド上でズボンとリハビリパンツを脱いで排尿してしまっている
  • ズボンとリハビリパンツを脱いだ状態で歩いたまま排尿し、床が水浸しのまま歩いているところを職員が見つける
  • 便座に座り込んだままどうしたらよいか分からなくなっている

これらの記録を確認して、「トイレに行きたいと思って間に合わない様子だ。ポータブルトイレを試してみてはどうか」と夜間の排泄場所の変更を試みました。

この時にパットの交換練習がどうなっているか?どれぐらい介助しているか?といったことを、介護士から聴いておくべきでした。

在宅復帰前にケアマネと家族に現状を伝えた

入所して2か月目終盤に「退所前自宅訪問」として、自宅を訪れる前に排泄状況を評価した結果が以下の通りです。

  • パットの交換練習はできていない
  • 日常的に排泄動作の介助を行っている
  • 夜間の失禁やトイレの場所以外での排尿が増えている

正直に申し上げれば、ケアプランのパット交換ができていなかったこと、さらにケアプランが意味をなさなくなっていることを職員間で共有できていなかったことに大きな反省を感じました。

気づけてなかったのは自分のせい、けどショックだった…

「ケアプラン、できなくなってます!!」って一言申し送りがあれば、その場で対応できた案件だったんだ!

ここに関しては、在宅復帰に向けて関わっている人という作業療法士としての私の認識と、現場の介護職員さんたちとの認識に温度差があったと思います。

今後に活かそう!と決意し、ケアマネージャーと家族へ現状の評価をありのままにお伝えしました。

今回の一連の関わりから学んだこと

着目した生活動作の変化を追え!!

今回の関わりで一番の反省点は、着目した排泄動作がどのように行われているかを見ていなかったということです。

  • 尿意を感じたらトイレに行くことができているのか
  • 昼間と夜間で動作に違いはあるのか
  • できなかった部分の原因分析を行っているか
  • 介護記録で確認できない部分を現場職員へ確認することができているか
  • ケアプランの実施はできているか

これらの視点が十分でなかったために、今回のような反省点に至ってしまいました。

限られた時間の中で一人の利用者さんに関われる時間にも当然限りはあります。

だからこそ、職種によって分業や分担があるわけだし、それぞれの専門職の役割を果たすべきです。

そのためにも、在宅復帰後の生活のイメージを現場の介護職員さんとのコミュニケーションは欠かせません。

在宅復帰には、何が必要で、どんなことの見極めが求められているのかという視点の共有が重要だと思います。

現場の職員と在宅生活のイメージを共有せよ!!

在宅復帰後にどんな生活をする人か??というのが共有できてなかったのも、現場との温度差を産んだ要因だと思いました。

  • 一軒家に住んでいて、月曜から金曜日までの昼間はデイケアに通っているから介助する人がいる
  • デイケアから帰った後、夕食は長男さん家族と一緒に過ごす
  • 夕食後から起床までは一軒家の自分の部屋で一人で眠っていて介助者はいない
  • 入所する前も夜中に排泄の失敗があって衣類が汚れてしまい、深夜に一人でお風呂に入ってしまうことがあった
  • 夜の排泄動作がある程度行えるようになる、もしくはできない部分を明らかにしておくことが在宅復帰までに求められている

この辺りを現場の職員さんとうまーーく情報共有できていなかったんですよねー…

「在宅復帰する人」「家に帰ったら排泄動作が一通りできることが望まれている人」という認識は現場にも伝わっていましたが、トイレ動作が途中で分からなくなったり、夜間にトイレ以外の場所で排尿してしまったりした時に「在宅復帰に関わる事案」としては捉えられていませんでした。

ここは私自身も大いに反省するべきところで、夜間の排泄動作については介護記録に記入されていたものを見落としていました。

また、パットを外すというケアプランの実施状況の確認も十分ではなかったですし、実際にパットを外す環境(トイレにバケツがあるか)といった環境の確認も怠っていました。

まとめ

「着目した生活動作から目を離すな!!」という話でした!

立案したケアプランの実施状況=着目した生活動作なんだ!、変化を捉えろ!目を離すな!というのが今回の学びです。

日々ね、目の前にある業務に忙殺されがちですけども、モニタリングって大事だよね!という話でした。

これからも私が日々老健で働く中で学んだこと、気づいたこと、反省点から次に活かせそうなことを発信していきたいと思います。

どなたかのお役に立てば幸いです。

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この記事を書いた人

とーこ@作業療法士ママ
老健で働く作業療法士。8歳4歳兄弟のママ。仕事や子育てでの経験から学び、「私がもっと早く知りたかった!」ことを発信します。趣味は旅行とパン作り。取得資格:介護支援専門員、介護老人保健施設リスクマネージャー、実習指導者研修修了。

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