次男の育休復帰後に「うまく休めてない」と感じていた時期がありました。
ボーっとスマホを眺めているとだんだん目が疲れてくる…
かといって、他に何もするにならんわ…(当時の心の声)
【疲れを取ること、休むことへのアンテナ】に引っ掛かったのがこちらの書籍です。
爽やかなブルーにやさしいフォント、手に取ってみたくなる装丁ですよね。
忙しくて休む時間が取れない、休日の気持ちが休まらない、自分で休んでいるつもりなのになかなか疲れが取れないという人に向けて、本当の休みを取るための方法を心療内科医の先生が解説されています。
発行日:2023年9月13日
著者:鈴木裕介
神経学的な理論を基に、自分の疲れの原因に触れ、原因に対処する形で休み方を解説されています。
「自分のことを過剰に責めないでほしい」という先生のメッセージが温かく、心に響いてくる文章です。
こんな人へおすすめ
何も手につかなくなるほど体が疲れきっている人
疲れていて何もする気がないけどスマホだけ眺めてしまう人
体の不調がひどい人
本の内容
- 人が上手に休めない理由は、ストレスに気づきにくい、休める環境を確保しづらい、自分の身体に合った休養行動を知らない、の3つである
- 自律神経が大きく「交感神経系」「背側迷走神経系」「腹側迷走神経系」の3つに分かれ、ストレスなどでその健全なゆらぎのリズムが失われたときに、心身にさまざまな不調が現れる
- ストレス反応には大きく二方向あり、交感神経系優位な状態(炎のモード)のときはアッパー系のストレス反応、背側迷走神経系が優位な状態(氷のモード)のときはダウナー系のストレス反応があらわれる
- 腹側迷走神経系が優位になっていると、心身が安全・安心を感じられる状態になり、生体の健全なリズムを取り戻すことができ、心身の回復につながる
- そのためには、心や身体の声を聴き、自分にとって本当に必要なもの、大切なものが何かを知ることが大事だということ
働く母として知っておきたい「過剰適応」
特に引っ掛かった部分は「過剰適応」という状態についてです。
過剰適応とは、周りの環境に配慮し他者に調和することを重視しすぎて常に気を張っている状態。
自らのニーズよりも他者のニーズを満たすことを重視しすぎて疲弊していること。
精神的にとても消耗しやすい。
たとえば、私が食事の献立を作るときを例に挙げてみようと思います。
私は辛いものが好きです。
キムチ鍋や山椒の効いた汁なし担々麵、スパイシーなカレー…時々無性に食べたくなります。
でも、辛いものって子どもたちは食べられないですよね。
日々の晩ごはんは子どもたちが好む味、好きな食べ物が中心で、「自分のニーズよりも他者(子ども)のニーズを満たすことを重視している」状態です。
そして、「子ども中心生活」って食べ物だけじゃないんです。
24時間365日、家の中はだいたい子ども中心で動きます。
「子どもが満足できるように」という思考回路で常に動いているので、それだけで私は消耗しやすい状態にあると言えそうです。
さらに、職場に行けば与えられた仕事に対して精一杯の結果を出すことは当たり前に求められているし、自分も応えようと努力しています。
働いて、子育てして、生きてるだけで「過剰適応」じゃん。
極端かもしれませんが、私はそう感じました。
かなり意識して「自分のニーズを満たす」状態を作らないと、ついつい過剰適応になりがちなんだな、と肝に銘じたところです。
氷のモードの辛さを代弁してもらえた一節
休むことに対して罪悪感を覚えていた私の心の中を、代弁してくれているかのような一節があったので紹介します。
「望むような活動をしたい」「求められる役割を果たしたい」という思いはあるのに、どうしても身体が動かない。
仕方なく仕事を辞めたり休んだりしているのに、一向に回復する兆しが見えず、「食事をきちんととったほうがいい」「身体を動かすといい」と言われても、どうしても動けない。
そんな状態が続くと、やがて、
「何も生み出しておらず、誰の役にも立っていない自分に何の価値があるのだろうか」
「こんな自分のことを、誰が信じ、必要としてくれるのだろうか」
「自分など、いなくなってしまったほうがいいのではないだろうか」
などと考え、思うようにならない自分に怒り、「単に甘え、サボっているだけなのではないか」と自分を責め、ますます自分を追い詰めてしまうのです
当時、休みの日が来るたびに、ただ布団の上で横たわっていることしかできませんでした。
手持ち無沙汰でスマホを眺めていると、何かしなければいけないという焦りがフツフツを沸いてきます。
何かやらなければと頭では分かっていても、身体は鉛のように重たくて意識もぼんやりしていて考えがまとまりません。
休んでいても、また怠けてしまった、と罪の意識だけが積み重なっていきます。
役に立たない、何も生み出せない自分を怠け者だと感じ、自分を責めました。
当時長男4歳、次男9か月での育休復帰で、早い段階で復帰することは私自身の希望でした。
職場で求められる役割に全力で応えることで、私は自分の居場所を確保していたと思います。
働き続けるために、両親も夫もサポートは充実していたと思います。
充実していたからこそ、弱音は吐けない、と思っていた部分がありました。
サポートが充実していても、幼児2人の子育てと仕事の両立をし続けていくことは、じわじわとストレスになっていました。
疲れ切っていた私はすっかり「氷のモード」に入っていて、誰にも関わりたくないし、何もしたくない状態でした。
氷のモードは悪者ではない、と鈴木先生は書かれています。
危機をやりすごして自らの身を守り、エネルギーを節約し、回復に向かうために必要なプロセスなのです。
この「背側系の反応を無視せずに、積極的に受け容れていく」という方針は、「休む」という技術の習得において核心的といってもいいほど重要な態度だと思っています。
あの頃の私にこの言葉を贈ってあげたい。
さらに、氷のモードの抜け出し方、腹側迷走神経へのアプローチ方法といった休み方を選ぶ手段を伝えてあげたいなと思います。
正しい休養行動をとるために具体的な方法
では、本書で紹介されていた「正しい休養行動をとるために具体的な方法」について紹介していきます。
正しい休み方の考え方は以下の2つです
- 「逆の方向」に入れるための行動
- 「腹側迷走神経」に入れるための行動
炎のモードから抜け出す方法
- ゆっくりとした呼吸をする
- ラベンダーなどの鎮静系のアロマを利用する
- ハーブティや漢方薬などを利用する
- 心を落ち着けさせるような、静かな曲を聴く
- 暖かい湯船に浸かる
- 部屋を暗くする
氷のモードから抜け出す方法
- 早めの呼吸をする
- レモングラスなどの覚醒系のアロマオイルを利用する
- 運動や体操など、身体を動かして心拍数を高める
- サウナや水風呂になどで、身体に温度刺激を与える
- エキサイトするようなゲームをしたり音楽を聴いたりする
- 太陽の光を浴びる
腹側迷走神経へのアプローチ
- 穏やかな表情を作ったり、首を傾げること
- よく噛んだり、ものを飲み込んだりすること
- 歌を聴いたり、歌ったりすること
- 抑揚をつけて、会話を楽しむこと
腹側迷走神経系を活性化するエクササイズ
エクササイズの準備として、頭と首の可動域や痛み、こわばりなどを確認しておきます。
- 左右の手の指を組む
- 手を後頭部の後ろに置く
- 頭を固定したまま、目だけを動かして右を見る
- 目だけで右を見続けて30~60秒たつと、つばを飲み込みたくなったり、あくびが出たり、ため息が出たりする(体がリラックスしはじめたサイン)
- 目を中央に戻り、まっすぐ前を見る
- 頭を固定したまま、今度は目だけを動かして左を見る
- つばを飲み込みたくなったり、あくびが出たり、ため息が出たりするまで、左を見続ける
エクササイズ後に再び頭と首の可動域や痛み、こわばりなどを確認しておきます。
まとめ
紹介した内容以外の休み方の方法や、ストレスからの回復方法には人によって6つの対応があるという考え方(BASIC Ph)についても、本書後半に詳しく紹介されています。
正しい休み方について、もっと詳しく知りたいという人は書籍に触れてみてください。
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