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こんにちわ、とーこです
染井為人さんの「正体」を読みました。
読み始めは割とサラッとしていてなかなか話が盛り上がってこないのに、中盤からの物語がぐんぐん展開していって、最後はずっしり、どっしり重い読後感が残ります。
ずーーーんっと心に漬物石を置いたような重さを感じています。
埼玉一家惨殺事件の未成年死刑囚が脱獄する。24時間フル稼働する東京オリンピック施設の工事現場、介護者の人手不足に喘ぐ千葉のグループホーム……。その場所に突然あらわれ逃亡そして潜伏を繰り返す彼の目的とは? 少年死刑囚の脱獄488日を追う!
Amazon 書籍紹介より
逃亡先が変わるごとに場面展開し、それぞれ登場人物が入れ替わっていきます。
場面ごとに鏑木慶一が出会う人々との人間模様が繊細に描かれていて、特に30代OLとの恋模様とその最後に心打たれました。
「正体」はオーディブルでも耳読できます。
本書を読んで「無条件で人を信じることの難しさ」について考えさせられました。
無条件で人を信じることの難しさ
鏑木慶一に恋をした30代の女性ライターが「私は過去なんて関係ないって言ったけど、信じてるって言ってあげれば良かった」というような台詞をいう場面があります。
殺人犯ではないことを信じるって伝えてあげれば良かったと。
この台詞を聞いて、どんなに愛していても条件次第ではその人のことを信じることは難しいんだなと気づかされました。
本編を読んでもらえば分かるんですが、この女性は本当に鏑木くんのことが好きで、守ってあげたくて、お互いの間に愛があったと私は感じています。
そんな間柄ですら、「一家惨殺事件を起こした死刑囚が目の前にいる彼なんだ」と気づいた時に、彼のことを守ってあげたいという思いになっても、彼が事件を起こしていない、殺人犯ではないことを信じるという思いには当時至っていないんですよね。
彼女が鏑木くんに惹かれていって、彼との関係を深めていく描写に、アラフォーおばさんは恋の始まりに胸キュン。
刑事たちが押し入ってきてからがハラハラドキドキ、ここは一気読みです。あの刑事が憎い。
誰しも先入観を持ってジャッジしている
ここで、「自分だったら愛する人を無条件に愛する人を信じられるか」という例え話を上げてみようと思います。
小学校の先生から「息子さんと同級生がケンカをしていて、同級生のお子さんが大怪我をしてしまいました。すぐに学校にきてください」と呼び出しがあったら。
私は冷静に長男の訴えに耳を傾けることができるだろうか?と自問してみます。
すでに学校の先生という他者から「怪我をさせた」という情報を聞いていて、さらに同級生に実害が出てしまっているという事実がある時点で、冷静ではいられないと思う。
当然長男の話も聞く姿勢は持つかもしれませんが、あくまでそれは事実確認であって、「きっと長男にも非があったのだろう」ということを前提にしてしまうような気がします。
このように、相手が愛する息子であったとしても「条件なしに相手の話を丸ごと受け止める」というのは時に難しい場面がありそうです。
判断に悩む時ほど、何か思い込みはないか、先入観を持っていないか、自問するようにしたいと思いました。
「正体」染井為人
染井為人さんの「正体」を読んだ感想でした!
「正体」はAudibleで耳読もできます。
空いた耳のスキマ時間で読書ができるのでおすすめです。
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